はじめまして。建設業界のDX推進を専門に、企業のコンサルティングを行っている佐藤と申します。日々の業務の中で、「建設業界の生産性を向上させたい」「アナログな現場管理から脱却したい」という切実な声を数多くお聞きします。特に最近、施工管理アプリの導入を検討される企業様が急増しており、「どのサービスを選べば良いのか分からない」というご相談が後を絶ちません。
数あるサービスの中でも、やはり業界シェアNo.1の「ANDPAD(アンドパッド)」は、多くの方が一度は検討されるのではないでしょうか。その圧倒的な実績と機能性は、確かに魅力的です。しかし、一方で「自社のような小規模な会社でも使いこなせるのだろうか?」「もっと自社の課題に特化したサービスがあるのではないか?」といった疑問や不安を感じている方も少なくないはずです。
そこで本記事では、業界の巨人と称されるANDPADの対抗馬として、近年急成長を遂げている「BRANU(ブラニュー)」に焦点を当てます。BRANUは、特に中小建設企業から絶大な支持を集める、非常にユニークな戦略を持つ企業です。この記事を最後までお読みいただくことで、ANDPADとBRANUの決定的な違いが明確になり、皆様の会社が本当に導入すべきサービスはどちらなのか、具体的な判断材料を掴んでいただけることでしょう。
目次
結論:ANDPADとBRANU、最大の違いは「事業規模」と「ビジネスモデル」
早速、本記事の結論からお伝えします。ANDPADとBRANU、この両社を隔てる最も大きな違いは、ターゲットとする顧客の事業規模と、そこから必然的に生まれるビジネスモデルの根本的な違いにあります。
ANDPADは、業界のリーディングカンパニーとして、大手ゼネコンから地域の中小工務店まで、建設業界に関わるあらゆる企業をターゲットにしています。その姿は、豊富な品揃えであらゆる顧客のニーズに応える「百貨店」に例えることができるでしょう。施工管理を中心とした網羅的な機能を提供し、業界全体のスタンダードとなるプラットフォームを構築する戦略です。
一方のBRANUは、明確に中小建設企業にその照準を合わせています。Webサイト制作という入口から顧客との関係を築き、業務効率化ツールの提供、さらには経営コンサルティングまで、顧客の成長段階に合わせて深く、長期的に伴走していくスタイルです。これは、顧客一人ひとりの課題に寄り添い、最適な解決策を提案する「専門ブティック」や「パーソナルトレーナー」のような戦略と言えます。
この根本的な違いが、提供する機能、料金体系、サポート体制など、あらゆる側面に影響を与えています。以降の章で、それぞれの特徴をさらに詳しく掘り下げていきましょう。
シェアNo.1の巨人「ANDPAD」その圧倒的な強さの正体
建設業界で施工管理アプリを検討したことがある方なら、一度は「ANDPAD」の名前を耳にしたことがあるでしょう。ANDPADは、まさに業界の巨人とも言える存在です。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によれば、「建設業マネジメントクラウドサービス市場」において8年連続でシェアNo.1を獲得しており、その地位を揺るぎないものにしています。
2026年1月時点で、利用企業数は23万社、ユーザー数は68万人を突破。この数字は、単なる人気だけでなく、多くの建設事業者から寄せられる厚い信頼の証と言えるでしょう。なぜANDPADは、これほどまでに多くの企業に選ばれ続けるのでしょうか。その強さの秘密は、主に以下の3つの要素に集約されます。
1. あらゆる業務を網羅する、圧倒的な機能性
ANDPADの最大の強みは、その圧倒的な機能の網羅性にあります。現場の基本的な情報共有や写真管理、工程表の作成はもちろんのこと、以下のような多岐にわたる業務を一元管理することが可能です。
| 機能カテゴリ | 具体的な機能例 |
|---|---|
| 施工管理 | チャット、図面管理、黒板作成、検査、タスク管理(ボード) |
| 経営管理 | 引合粗利管理、受発注管理、請求管理、歩掛管理 |
| 現場業務支援 | 遠隔臨場、3Dスキャン、入退場管理、電子納品 |
| 顧客・協力会社連携 | 施主向け情報共有(おうちノート)、資料承認、API連携 |
| データ活用 | データ分析(ANDPAD Analytics)、AIプロジェクト「ANDPAD Stellarc」 |
このように、現場の職人から経営者まで、建設プロジェクトに関わるすべての人が必要とする機能が、ANDPADという一つのプラットフォーム上に集約されています。これにより、部署間や企業間の情報の分断を防ぎ、プロジェクト全体の生産性を飛躍的に向上させることができるのです。
2. 業種・規模を問わない、驚異的な対応力
ANDPADは、特定の業種に特化するのではなく、建設業界全体の課題解決を目指しています。そのため、非常に幅広い業種に対応できるのが大きな特徴です。
- 注文住宅、リフォーム
- 設備工事、太陽光、塗装、外構
- 大規模修繕、ゼネコン
- 不動産、製造業、小売・飲食業
上記は対応業種の一部ですが、これほど多様なニーズに応えられるのは、ANDPADが長年にわたって蓄積してきた業界知識とノウハウの賜物です。近年では、三菱地所ホームやミサワホームといった業界を代表する大手企業が相次いで導入を発表しており、大規模な組織や複雑なプロジェクトにも対応できる高い信頼性と拡張性も証明されています。
3. 業界のスタンダードとしての安心感
シェアNo.1であるということは、それ自体が大きなメリットになります。多くの協力会社やすでにANDPADを利用しているため、新たなプロジェクトで導入する際の障壁が低く、スムーズな情報連携が期待できます。いわば、建設業界における「共通言語」のような役割を果たしているのです。
また、ANDPADは、国土交通省が推進する「インフラDX大賞」で優秀賞を受賞するなど、その取り組みは公的にも高く評価されています。こうした業界のスタンダードとしての安心感が、多くの企業にとって大きな導入動機となっていることは間違いないでしょう。詳しくは国土交通省の報道発表資料でもその功績が紹介されています。
中小建設企業の救世主「BRANU」独自の成長戦略とは?
業界の巨人ANDPADが「百貨店」だとすれば、BRANUは中小建設企業という特定の顧客層に深く寄り添う「専門ブティック」です。2009年の創業以来、一貫して中小建設企業の支援に特化し、2025年12月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たすなど、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しています。
BRANUの最大の特徴は、単なるツール提供に留まらない、独自の段階的なビジネスモデルにあります。
独自の「3層構造ビジネスモデル」
BRANUは、顧客との関係を以下の3つのステップで段階的に深めていきます。
- 第1層:CAREECON(マッチングメディア)
まず、協力会社探しや案件の受発注ができるマッチングサイト「CAREECON」を通じて、Web上での集客や情報発信に課題を持つ多くの建設企業との接点を創出します。これは、いわばBRANUの世界への入口です。 - 第2層:CAREECON Plus(統合型ビジネスツール)
次に、Webサイト制作やマーケティング支援をきっかけに関係を築いた顧客に対し、日々の業務を効率化する統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」を提供します。施工管理はもちろん、採用管理や経営管理まで、中小企業のバックオフィス業務を幅広くカバーします。 - 第3層:DX Consulting(ハンズオン型DXコンサルティング)
そして最終段階として、ツール導入だけでは解決できない、より高度な経営課題に対して、専門のコンサルタントが伴走しながら解決を支援します。5,000社を超える支援実績から得られたデータを基に、各社に最適化されたDX戦略を提案するのです。
このように、Webサイトという比較的導入ハードルの低いサービスから始め、徐々に信頼関係を構築しながら、最終的には経営の根幹に関わるパートナーへと進化していく。この顧客育成型のアプローチこそ、ITに不慣れな中小企業経営者の心を掴んで離さない、BRANUの強さの秘密なのです。
こうした顧客に寄り添う姿勢は、社内の企業文化にも深く根付いています。BRANUは「社員の挑戦や失敗が個人の成長につながり、さらに会社全体の成長と業績向上につながる」という理念のもと、社員が失敗を恐れずに変化と挑戦できる環境づくりに力を入れています。社内公募制度「CAREER PASS」や、四半期ごとの1on1キャリア面談など、社員一人ひとりの成長を支える仕組みが整っているのです。こうしたブラニューの企業文化や社員支援制度については、より詳しい情報が公開されています。顧客だけでなく、社員に対しても「伴走型」の姿勢を貫くBRANUの企業文化が、結果として顧客満足度の高いサービス提供に繋がっていると言えるでしょう。
最新AI技術を武器に、現場の負担を徹底的に軽減
BRANUのもう一つの強みは、最新技術への積極的な投資です。その象徴とも言えるのが、2026年1月21日に発表された新機能「AI日報」です。
これは、現場で撮影した施工前と施工後の写真を2枚アップロードするだけで、画像認識AIと大規模言語モデル(LLM)が連携し、日報を自動で作成してくれるという画期的な機能です。BRANUの発表によれば、これにより1人あたり1日約30分の業務時間削減が見込めるとのこと。従業員10名の会社であれば、年間で約300万円もの人件費削減に繋がる可能性があるという試算も出ています。この革新的な機能については、BRANUのプレスリリースでより詳しく解説されています。
このように、中小企業の現場が抱える「日報作成が面倒」といった具体的な悩みに、最新技術でピンポイントに応えていく姿勢も、BRANUが支持される大きな理由と言えるでしょう。
【徹底比較】5つの視点で見るANDPAD vs BRANU
ここまで、両社の特徴をそれぞれ解説してきました。ここでは、より理解を深めるために、5つの具体的な視点で両社を直接比較してみましょう。自社がどちらのタイプに近いかを考えながら読み進めてみてください。
| 比較項目 | ANDPAD (アンドパッド) | BRANU (ブラニュー) |
|---|---|---|
| ターゲット市場 | 大手から中小まで全方位 | 中小建設企業に特化 |
| ビジネスモデル | 包括的プラットフォーム (百貨店モデル) | 段階的伴走支援 (専門ブティックモデル) |
| 提供機能の範囲 | 施工管理を中心に、建設業務を網羅的にカバー | Web制作から施工管理、経営コンサルまで一気通貫 |
| 料金体系 | 初期費用10万円+月額3.6万円〜 (価格が明確) | 要問い合わせ (企業規模に合わせた柔軟な価格設定と推測) |
| サポート体制 | 規模の大きなカスタマーサポートチームによる対応 | 専門コンサルタントによるハンズオン型の伴走支援 |
この表から分かるように、両社は似ているようで、その思想や戦略は大きく異なります。ANDPADが業界全体のインフラを目指しているのに対し、BRANUは一社一社の経営に深くコミットすることを目指していると言えるでしょう。
あなたの会社に合うのはどっち?課題別・企業規模別選び方の指針
それでは、具体的にどのような企業がANDPADに、そしてどのような企業がBRANUに向いているのでしょうか。これまでの分析を踏まえ、具体的な選び方の指針を提示します。
ANDPADがおすすめな企業
以下のような課題や特徴を持つ企業には、業界標準のプラットフォームであるANDPADが適している可能性が高いです。
- DXがある程度進んでおり、さらなる機能拡充を目指す中堅〜大手企業
すでに何らかのITツールを導入しており、次のステップとして、より多機能で拡張性の高いシステムを求めている場合に最適です。 - 複数の専門工事会社や多数の協力会社と連携する大規模プロジェクトを管理する企業
関わる業者が多いほど、業界標準であるANDPADを導入するメリットは大きくなります。協力会社とのスムーズな情報共有基盤を構築できます。 - 業界標準のツールを導入し、採用や協力会社募集で有利に立ちたい企業
「ANDPADを導入している」という事実が、企業の先進性や信頼性のアピールに繋がり、人材採用やパートナーシップ構築の面で有利に働くことがあります。
BRANUがおすすめな企業
一方で、以下のような課題を抱える企業にとっては、BRANUの伴走型支援が大きな力となるでしょう。
- これから本格的にDXを始めたいが、何から手をつければ良いか分からない中小企業
「ITは苦手」「専任の担当者がいない」といった企業でも、専門コンサルタントが手厚くサポートしてくれるため、安心してDXの第一歩を踏み出せます。 - ホームページ制作やWeb集客、採用活動にも課題を抱えている企業
BRANUの強みは、施工管理だけでなく、その前段階であるマーケティングや採用から支援してくれる点にあります。事業全体の課題をまとめて相談したい場合に最適です。 - ツールを導入するだけでなく、経営全体の課題解決までサポートしてほしい企業
単なる業務効率化に留まらず、データに基づいた経営分析や戦略立案まで踏み込んだ支援を求めている企業にとって、BRANUのDXコンサルティングは非常に価値の高いサービスとなるでしょう。
まとめ
今回は、建設業界のDXを牽引する二大巨頭、ANDPADとBRANUについて、その違いを徹底的に比較・分析しました。
最後に、両社の特徴をもう一度、比喩を使って振り返ってみましょう。
- ANDPADは、あらゆるニーズに応える豊富な機能と圧倒的な品揃えを誇る「機能のデパート」。業界のスタンダードとして、誰にとっても使いやすく、安心感のあるプラットフォームです。
- BRANUは、顧客一人ひとりの課題に深く向き合い、目標達成まで伴走してくれる「経営のパーソナルトレーナー」。特に中小企業にとっては、DXの推進から経営改善までを任せられる、心強いパートナーとなるでしょう。
どちらのサービスが優れている、という単純な話ではありません。重要なのは、自社の現在の事業規模、抱えている課題、そして将来目指すべき姿を明確にし、そのビジョンに合致したパートナーを選ぶことです。この記事が、皆様にとって最適なサービス選択の一助となれば幸いです。
ぜひ、両社の公式サイトを訪れ、より詳細な情報を収集したり、直接問い合わせてみてはいかがでしょうか。皆様の会社の未来を切り拓く、最良の選択ができることを心から願っております。



